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医療関係者の方へ

甲状腺腫瘍

甲状腺腫瘍は近年の健診普及により偶発的に発見される機会が益々増加しています。多くは良性ですが、頸部エコーで悪性所見が疑われる場合には穿刺吸引細胞診を含めた専門医の診断が必要となります。腫瘍サイズが大きい場合や悪性を疑わせる所見がある場合、増大傾向を認める場合には細胞診を施行します。当院内分泌センターでは、内科・外科で診断・治療を連携して行わせていただきます。専門的治療の適応でない場合には紹介元機関での今後の検査計画などについてもご提案させて頂きます。

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FreeT3・FreeT4↑なのにTSH→ or ↑

バセドウ病や無痛性甲状腺炎では甲状腺ホルモンの上昇に伴いTSH値が通常抑制されます。しかしTSHが抑制されないケースが時にあり、このような状態をSITSH(不適切TSH分泌症候群)といいます。バセドウ病や橋本病の加療中にも同様の所見を呈することがありますが、慢性的に続く場合は甲状腺ホルモン不応症やTSH産生性下垂体腺腫によるSITSHの可能性があります。このようなケースでは、いずれの疾患にせよ、バセドウ病の治療(抗甲状腺薬など)を行うと甲状腺腫大の増悪や原疾患の悪化をきたすことが懸念され、内分泌学的精査が必要です。疑わしいケースがございましたらご紹介ください。また甲状腺ホルモン不応症、TSH産生性下垂体腺腫はいずれも指定難病として医療補助の対象になります。

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FreeT3・FreeT4↓なのにTSH→ or ↓

慢性甲状腺炎(橋本病)などによる原発性甲状腺機能低下症では甲状腺ホルモンの低下によりTSH値が上昇します。TSHが低値または正常範囲に留まる場合は中枢性甲状腺機能低下症の可能性が疑われます。中枢性甲状腺機能低下症の原因は多岐(視床下部・下垂体部の腫瘍、炎症、感染など)に渡り、外科的、専門的治療を要することが多く精査が必要です。また中枢性副腎機能低下症など他のホルモン低下を合併することも多く、甲状腺ホルモンのみの補充が病状を悪化させることもあります。非甲状腺疾患による低T3症候群でも類似の検査所見を呈することがありますが、中枢性甲状腺機能低下症と低T3症候群を検査値のみで判断することはしばしば困難です。中枢性甲状腺機能低下症は指定難病として医療補助の対象となります。

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肝障害のない高ALP血症

γGTPなど他の肝酵素上昇を伴わずALPのみが上昇するケースでは骨由来のALP上昇の可能性があり、何らかの骨代謝異常(骨形成の亢進)を反映している場合があります。骨折後、骨粗鬆症、転移性骨腫瘍の他、原発性及び続発性副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)、腫瘍性低リン血症性骨軟化症など、種々の内分泌疾患においても高ALP血症を呈します。シンチグラフィなど各種画像検査による原疾患の診断とともに骨代謝全般の評価、全身臓器への影響を並行して行い治療法を決定します。

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若年性高血圧

高血圧の多くは本態性高血圧症ですが、10-20%は内分泌性を含む二次性高血圧症とされています。特に35歳以下の若年性高血圧患者では、二次性高血圧の頻度がさらに上がり、約3割にも達します。内分泌性高血圧は適切な診断と治療により治癒や大幅な改善が期待できる一方、放置すると多様な臓器障害を引き起こすため早期発見・早期治療が重要です。原因疾患として原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、クッシング症候群、先端巨大症、副甲状腺機能亢進症、バセドウ病、腎血管性高血圧、レニン産生腫瘍など実に様々な疾患があります。ホルモン検査は変動しやすく、特徴的所見を欠く非典型例も発症初期には多いため、若年性高血圧で遺伝的背景や生活習慣などから本態性高血圧が考えにくいケースについては是非当センターまでご紹介下さい。

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副腎・下垂体偶発腫瘍

健診や非特異的症候を契機に施行された画像検査で偶発的に発見される腫瘍を偶発腫瘍といい、近年の画像検査の進歩・普及により副腎・下垂体の偶発腫瘍は以前より高頻度になっています。同部位の偶発腫瘍は治療を必要としないものを多く含みますが、内分泌学的活性を有するもの、サイズが大きいまたは近接臓器への浸潤を伴うもの、経過中に増大傾向を示すものなどは治療適応となります。そのため原疾患の診断が重要となりますが、例えば副腎部の場合、クッシング症候群、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、副腎皮質癌、副腎皮質過形成、悪性リンパ腫、転移性腫瘍、骨髄脂肪腫、脂肪肉腫など非常に多くの鑑別すべき疾患があります。当センターではCT, MRI, 核医学検査などの画像検査や内分泌学的検査などにより診断し関連各科と連携し治療を行います。

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電解質異常

電解質異常はさまざまな疾患・病態で生じますが、内分泌疾患の発見契機としても非常に重要です。低ナトリウム血症(下垂体前葉機能低下症、甲状腺機能低下症、SIADH、副腎機能低下症)、高ナトリウム血症(尿崩症)、低カリウム血症(原発性アルドステロン症、クッシング症候群、バーター症候群、リドル症候群、腎血管性高血圧、レニン産生腫瘍、甲状腺機能亢進症)、高カリウム血症(副腎皮質機能低下症)、低カルシウム血症(原発性・偽性副甲状腺機能低下症、飢餓骨症候群)、高カルシウム血症(原発性副甲状腺機能亢進症、家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症)、低リン血症(腫瘍性骨軟化症、ビタミンD依存症)などがあります。特に若年者の原因がはっきりしない電解質異常については内分泌学的機序の関与が疑われます。

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糖尿病治療歴のない低血糖

糖尿病治療中に低血糖発作を起こすことがありますが、糖尿病非罹患者が低血糖発作をきたす場合は内分泌疾患が潜んでいる可能性があります。インスリノーマ(膵神経内分泌腫瘍)、びまん性膵β細胞過形成、インスリン自己免疫症候群、胃切除後などインスリン分泌・作用の過剰によるものの他、副腎皮質機能低下症(下垂体性、副腎性)、IGF-II産生性非膵β細胞腫瘍、薬剤性、など種々の疾患が鑑別診断に上がります。当センターでは持続血糖測定(CGM)や各種負荷試験による内分泌学的アプローチと選択的動脈刺激静脈サンプリング(ASVS)を含む画像診断的アプローチにより総合的に診断し病態に応じた治療を行います。

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