甲状腺腫瘍(良性・悪性)やバセドウ病、慢性甲状腺炎(橋本病)などの甲状腺の病気の可能性があります。頸部超音波検査や血液検査を行い、必要に応じてさらに詳しい画像検査や細胞診断検査などを追加し治療方針を決定します。
繰り返し尿管結石を起こす場合にはホルモンの病気(副甲状腺機能亢進症、クッシング症候群など)が潜んでいることがあります。またご自身に加えて血縁者(血のつながりのある家族)にも尿管結石がある方がいる場合もホルモンの病気を考慮する必要があります。
原発性副甲状腺機能亢進症、クッシング症候群、骨軟化症など、カルシウム・リンの代謝異常を伴うホルモンの病気の可能性があります。血中カルシウム・リン値は一般の健康診断では検査項目に含まれないケースが多いため、骨折などのエピソードがこのような病気の発見のきっかけになることも少なくありません。ホルモンの病気以外にも悪性疾患の骨への転移や血液の病気などの可能性もあり医療機関への受診をお勧めします。
これまであった生理が3ヶ月異常停止することを無月経といいます。無月経や月経不順がきっかけとなり、内分泌の病気がわかることがしばしばあります。月経不順をきたすホルモンの病気としては、甲状腺の病気、高プロラクチン血症、脳下垂体や副腎の腫瘍・機能異常など、さまざまな病気があります。これらの病気の早期発見・治療のためにも産婦人科や内科への受診をお勧めします。また月経周期を整えることは妊娠のためでなく、丈夫な骨や健康な体を維持するためにも大切です。脳下垂体の異常による場合は国の指定難病として医療費補助の対象となる場合があります。
成人後に靴や指輪のサイズが大きく変わることはあまりありません。先端巨大症(アクロメガリー)の可能性があります。先端巨大症は大脳の下にある脳下垂体という所に成長ホルモンを過剰に作る腫瘍ができることで起こります。上記の症状の他に、特徴的な顔つき(額やあごが出る、鼻が大きくなる)や声の変化(低くこもる)、頭痛、発汗、動悸、視力障害などの様々な自覚症状が起こりますが、症状がゆっくりと進行するためご本人やいつも一緒にいるご家族はその変化に気づかないこともよくあります。成長ホルモンの過剰は外見の変化だけでなく、代謝異常(糖尿病・脂質異常)、高血圧や心臓の病気の原因となり、また一部のガンを大きくしやすいことも知られています。当センターでは脳神経外科と連携し手術や薬物療法で治療することができます。また先端巨大症は国の指定難病として医療費補助の対象となります。
副腎皮質機能低下症(特に女性)や性腺機能低下症(特に男性)の可能性が考えられます。副腎皮質機能低下症は副腎から分泌するステロイドホルモンが低下することにより起こります。副腎皮質ステロイドホルモン(コルチゾール)は血圧や血糖を維持したり、外的ストレスから体を守ったりする働き(ストレスホルモンとも呼ばれます)を有する生命維持に必須のホルモンです。副腎皮質機能低下症では外傷や他の病気などのストレスが加わるとショックや意識障害など重篤な状態となることがあり、すみやかに診断・治療する必要があります。性腺機能低下症には精巣・卵巣に異常がある場合と、視床下部・脳下垂体に異常がある場合があります。性ホルモン低下の程度だけでなく、低下の原因(腫瘍や炎症など)を調べることも重要です。また性ホルモンの低下は性機能だけでなく、新陳代謝や丈夫な骨・筋肉を維持する働きなどもしており、妊娠を希望しない場合にも適切な治療が必要です。副腎機能低下症や一部の性腺機能低下症は国の指定難病として医療費補助の対象となる場合があります。
体質的なもの(特発性)もありますが、ホルモンの病気で体毛が濃くなることがあります。ホルモンに関係するものとして、副腎の病気(先天性副腎過形成、クッシング症候群、副腎腫瘍など)、卵巣の病気(多嚢胞性卵巣症候群、卵巣腫瘍)、脳下垂体の病気(クッシング病など)、や内服薬・サプリメントの影響などが考えられます。これらの病気では月経の異常を伴うこともしばしばあります。各原因に応じた適切な治療が必要です。一部の病気は国の指定難病として医療費補助の対象となる場合があります。